目次
はじめに 交渉術に欠けていた「最初の一歩」
1 自分という「最強の敵」を理解するー自己批判から自己認識へ
2 何があってもブレない「インナー・バトナ」を養うー非難から自己責任へ
3 逆境にあっても「世界は自分の味方」だと信じるー敵意から安らぎへ
4 うまくいかないときこそ「ゾーン」にとどまるー抵抗から受容へ
5 どんな許しがたい相手でも尊重するー排斥から包容へ
6 ウィン‐ルーズの罠からぬけだし、与え合うーウィン‐ウィン‐ウィンへと導く
さいごに 三つの勝利
書評
この本でまず一番に言いたいことは、「タイトルと内容と合ってねーぞー!(笑)」ってこと。
私はウィリアム・ユーリーさんの本を読んでみたいという理由で、別に"交渉術"なんかはどうでも良かったんですね。
「営業マンでも、大事な商談で交渉が必要な仕事もしてないし。」
っていう理由でこの本をスルーする人は多いんじゃないかと思いました。
まぁ売るためには仕方ないのかな、とも思いますが、これに限らず本も映画もタイトルと中身が違うことよくある。
アメリカ映画の"The cure"(アメリカタイトル)が→"マイ・フレンド・フォーエバー"(日本タイトル)とかね。
そのままでいいんですけどー!
話戻りまして、この本は決してビジネス本に限った本ではありません。
全人類に役立つ本です。
個人的な悩み(親子・友人・夫婦・恋人・同僚・仕事)を持っている人にももちろん役に立つ本です。
私自身は、毒親問題を抱え、非常に生き辛いという悩みを抱えています。
「もし、良い親の元に生まれていたら。。。」
「毒親育ちだから、自分にはできないに決まっている!」
「アダルトチルドレンだから、自分はあの人みたいにはなれない。」
同じ経験をしていない人は決まってこう言います。
「親(もしくは環境)のせいにするな。」
仰る通りでございますが、それが簡単にできていたら生き辛い人生を自ら選んでいません。
わざと留まっているわけでもないのです。
つまり、簡単じゃない。
それを簡単に、経験したこともない、この苦しみを知らない人に言われるから腹が立つんですね。
じゃ、仰る通りに親のせいにしないで生きてみよう!
どうやって?どのようにして?
「そのくらい自分で考えろ!」とまた飛んできそうですね。
本当にこれらのアドバイス(批判)ってまぁーあ余計なお世話ですこと!
私はそれから自分の問題を解決するべく本を読み漁り、そしてカウンセリングも受けました。
良いカウンセラーの方に出会えて、頭の中でぐちゃぐちゃになった糸がほぐれていきました。
これからすべき事は分った!
でも、やはり怖いんです。前に進むことが。
アダルトチルドレンの人々は、毒親に非難されまくって自信のない人が多いです。
どうしたら勇気が持てる?どうしたら「自分はできる!」と思える?
それは自信を持とうとするより簡単なことでした。
少なくとも私にとっては。。。
ウィリアム・ユーリーはこの本の中で、『自分の人生に責任を持つこと』について話されています。
余談ですが、この本の英語タイトルは、"Getting to Yes with yourself and the other worthy opponents"です。
シンプルに言えば、"自分自身と敵(相手)にイエスと言わせる"ですが、ウィリアム・ユーリーさんはこの敵(相手)について、敵対して攻撃する相手ではなく、尊重すべき人としてお話されています。
Worthy・・・価値のある、尊敬すべき、立派な。
Opponent・・・敵対者、反対者。
私は、自分にイエスと言うことは、自分の人生なんでもオッケー!どんな問題があろうとも全て引き受けます!と言うことだと思いました。
反対に自分にノーと言うことは、自分の問題から逃げること。
毒親問題で考えると、この問題ってもらい事故のように私は考えていて、確かに事故を起こした方(毒親)が悪いんだけど、車壊れた、怪我した、時間を無駄にしたってのは自分に起きてしまったこと。
それらを無かったことにはできない。過去に戻れないから。
過去に戻ろうとするというのは例えばこんな感じ
相手を恨む。
もし、あの時あそこへ行かなければ。。。こんなことにはならなかっただろう。。
もし。。もし。。もし。。。。!
執着してそこから動けなくなってしまっている感じ。
どんな状況でも、負ってしまったものをチャラにすることはできないんです。
負ったものは、ずっとそれは自分が背負うしかないんです。
でも、自分にノーと言うのは、それを背負ったまま、「どうか消えてなくなってくれー!」って途方もなく歩き続けているようなものです。
だから自分にイエスと、そのくっついて離れてくれない、もはや自分の人生の一部になってしまった厄介な問題を引き受ける。
聞こえは大変なことと思うかもしれませんが、案外楽になれます。
これは本当に不思議なことなんですが。
ね、交渉術と全然関係ないこと書いてあるでしょ?(笑)
交渉ってビジネスだけに限らないってことをこの本に思い知らされます。
あぁ自分も交渉してるなって。
恋人、友人、同僚、オンライン上の相手。
そして最も交渉していることが多いのが自分自身。
この本を読んで、少し自分が丸くなったと思います。
また、下にYouTubeのリンク貼ってますが、是非見てみてください。
話の内容もそうですが、ウィリアム・ユーリーさんのその柔らかさを見てみてください。
私がイメージしていた交渉人とは全然違いました。
おすすめしたい人
- 解決困難な人生の悩みを抱えている人
- 人生に疲れている人
- 私と同じく毒親問題を抱えている人
- 変わってほしいのに中々変わってくれない相手がいる人
- 世界平和を望んでいる人
著者プロフィール・William Ury
ハーバード・ネゴシエーション・プロジェクト共同創設者。
世界でもっとも有名な交渉の専門家の1人であり、世界1300万部のベストセラー『ハーバード流交渉術』の共著者。
炭鉱における労使紛争から中東・ラテンアメリカなどの戦争・地域紛争にいたるまで、35年以上にわたって交渉のアドバイザーや調停役を務めてきた。また、経営者や政府高官など、世界数万人のリーダーたちに対して交渉のテクニックを教えた経験を持つ。
Wiiliam UryのHP(英語・ポルトガル語のみ)
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