· 

毒親の棄て方 娘のための自信回復マニュアル

目次


第一部 母親から受けた傷を確認する

 

一章 母親の愛情を疑問視することのタブー 「母親を悪く言うことは決して許されない」

二章 きわめて自己愛の強い母親 「だけど、わたしはどうなるの?」

三章 過剰に関わってくる母親 「あなたはわたしの人生よ」

四章 コントロールばかりする母親 「だってわたしがそう言ったから」

五章 世話を必要とする母親 「あなたが何もかもやってくれるでしょ、頼りにしているわ」

六章 ネグレクト、裏切り、虐待をする母親 「あんたはいつもやっかいごとを引き起こす」

 

第二部 母親に与えられた傷を癒す

 

七章 真実の始まり 「すべてわたしのせいではないということがわかりはじめる」

八章 つらい感情を認識する 「すべてを吐き出すのはとても気分がいい」

九章 怒りと悲嘆から英知は生まれる 「わたしは長いあいだ抑え込んできた感情と向き合う準備ができている」

十章 行動を変え、人生を変える 「変わることはとてもむずかしいが、変わらないことはもっと大変だ」

十一章 境界をもうける 「ノーという権利があるとはこれまで思ってもみなかった」

十二章 今どういう関係を望んでいるかをはっきりさせる 「やっと大人の女性になれた気がする」

十三章 もっともむずかしい決断 「わたしの母か、わたしの幸福か、という選択になる」

十四章 老い、病気、孤独。急に頼ってくる母親 「母を助けてあげなくてはならない。だって彼女はまだわたしの母親なのだから」

結びの章 ついに、いい母親と絆を作る

 

書評


毒親、、、日本ではそう呼ばれていますが、知らないって人はいますかね。

 

 

毒親っていうのは、簡単に言うと、子供を半永久的にもしくは永久的に不幸な人生を歩ませてしまう親のことを指します。

 

 

毒親にも色々タイプがあって、それは第一部の一章から六章に、Dr. フォワードがタイプ分けしています。

 

そして、こちらの本は、“娘のための~”とありますが、Dr. フォワードは、毒母と娘の関係が父と娘の場合よりも、母と息子の場合よりも、複雑であると説いています。

 

 

自分の親が毒親かどうかは、自分が親の存在をどう思っているかがポイントです。

 

例えば反抗期に親子喧嘩をしょっちゅうした経験があったとかでも、大人になったら穏やかな経験を築けているのなら、それはごく普通の家庭だと思います。

それは、子供だけではなく、親も一緒に成長できているからです。決して子供だけが親に対して感謝の気持ちを持てる年頃になったわけではないんだと私は思います。

 

 

そしてDr. フォワードが、これまでに経験してきた毒になる母親の行動について、チェックリストを作っている。

 

 

(毒親の棄て方 P15 )

 

あなたの母親は定期的に・・・

 

  • あなたをけなしたり批判したりするか?
  • あなたに罪をなすりつけるか?
  • 物事がうまくいくときは自分の手柄にし、うまくいかないときはあなたのせいにするか?
  • あなたには自分で決断を下す能力がないかのように対応するか?
  • 他人の前では愛想がいいが、あなたと二人だけのときは冷たいか?
  • あなたと張り合おうとするか?
  • あなたにとって重要な人の気を惹こうとするか?
  • あなたを介して自分の人生をまっとうしようとするか?
  • 電話、メールによってあなたの生活にあまりにも入り込んでくるので、息苦しく感じるか?
  • 自分の憂鬱の原因、成功できないこと、夢が成就しなかった人生はあなたのせいだと、口にしたりほのめかしたりするか?
  • あなたがいなければやっていけない(あなたの助けでなくてはだめだ。)と口にしたりほのめかしたりするか?
  • あなたを意のままにしようとして、お金を利用したり、お金をあげると約束したりするか?
  • 自分が望むことをしなかったら、あなたの人生をだいなしにしてやると脅すか?
  • あなたの気持ちや要望を無視するか考慮しようとしないか?

 

「イエス」の答えは、母親が愛情ある母親と愛情のない母親を分けている境界を越えかけているか、すでに越えてしまったあきらかな証拠だ。

 

 

そして、もう一つ、Dr. フォワードが作ったチェックリストがある。それは、母親との関係で自分にどんな影響が与えられているかを示すもの。

 

(毒親の棄て方 P16)

 

あなたは・・・

 

  • 母親に愛されているのだろうかと疑問に感じるか? 愛されていないことを恥ずかしく感じるか?
  • 自分以外の人の幸福に責任を感じるか?
  • 母親の要求、望み、あなたへの期待は自分自身のそれらよりも重要だと感じるか? 
  • 愛は自分には手に入らないものだと信じているか?
  • 母親のためにどれだけ尽くしても、充分ではないと信じているか?
  • 母親を守らねばならないと信じているか、たとえ彼女があなたを傷つけているとわかっていても?
  • 他人、とりわけ母親の望みを満たさなければ、罪悪感を覚え、自分は悪い人間だと感じるか?
  • 母親には自分の生活の詳細や感情を隠すか? なぜなら本当のことを母親に知られたら、自分に不利なように利用されるとわかっているから。
  • しじゅう賛同を求めているか?
  • どんなに成功しても、怯え、罪悪感を覚え、自分はちっぽけだと感じるか?
  • 自分を愛してくれるパートナーを見つけられないのは、自分に悪いところがあるからかもしれないと思うか?
  • 「わたしみたいに、めちゃくちゃな人間」になったら困るので、子どもを持つことが怖いか(たとえほしくても)?

 

こうした感情や思い込みは毒になる母親の与えた傷の負の遺産で、やはり子ども時代に根ざしたものだ。

 

 

 

ちなみに私の母は毒親です。

 

そして、子供時代から30歳になるまで、誰にも理解してもらえませんでした。30歳の時にたまたま仲良くなった子が同じ経験をしていて、やっとお話が通じる人ができましたが、今のパートナーにすら理解が難しい問題です。

 

私がこの本を好きで読んでいることに彼はドン引きしてましたからね(笑)

 

 

彼の両親は仲が良くて、喧嘩をしてることは一度も見たことがないらしく、かと言って会話がないわけでもなく、仲の良い両親で、彼も両親のことは大好きな人なんで、私が両親について悪く言うことをすごく嫌がりました。

 

 

私が、そんな完全に会ったこともない私の母の肩を持つもんだから、

 

「あなたも他の人と一緒だよ!理解できないならしなくていいけど、アドバイスするのはやめて!!」っていう感じで心を閉ざしかけましたが、なんとか理解しようとはしてくれて、それでもそんな簡単にはいきません。

 

 

もう次元の違う話をしているようなものなんで、でも仕方ないんですよね。

 

 

そんな時に、彼にもこのDr. フォワードの本を読んでもらって、少しですが(全部読んでないので)理解を示してくれました。

 

 

本の中には、実際にDr. フォワードに助けを求めた16人の女性の話が出てきます。

 

そういう体験談があったおかげで、私の彼も理解しやすかったと思います。毒親とは、こーであーでっていう説明をするよりも。

 

 

ちなみに、他にも毒親に関する本はあるのですが、私はDr. フォワードの本じゃないとだめだったんです。

 

 

私にとって、逆にストレスになる本は、“母親を許しましょう”とか、“受け入れましょう”とか、母親と仲良くすること前提の本です。

 

そんな本を見かけて思わず「気持ちわるっ」って思いました。

 

 

なぜ、母に子供時代を奪われ、我慢して我慢して生きてきて、気付いた時には自分の人生も奪われているという状態で、どうしてまだ子供が歩み寄らなければならないのか?聖人になれとでも言うのか?

 

全てじゃないけど、日本の毒親に関する本ってそういう物が多いそうです。

 

これは日本の文化的背景が影響してるそうなんですが、アメリカでは毒親に対してどんなアドバイスをするかというと、「親を見捨てろ」とか「親と縁を切りなさい」とか精神的にも物理的にも距離を置くことを推奨しています。

 

 

これは人によりけりですが、貴方がどちらのアドバイスだったら心が楽になれるかで、この本が合うか合わないか分かります。

 

私は自分の母について、「なんて狂った母親なんだろうね。」とか「親のことなんかあんたに関係ないよ。」とか言ってもらいたかったので、Dr. フォワードの本は本当に良かったです。

 

そこにいないのに、理解者が突然現れたような気持ちになって、時には号泣したり、Dr. フォワードの毒母の表現が面白くて笑ってしまうこともありました。

 

そして、この本がきっかけで、もっと自分について、やらなければならないことについて、真剣に前向きに考えられるようになりました。

 

負わされた傷は恨みがましいけれど、恨んでも治らない。あるものは認めるしかない。それが自分でつけた傷でなくても、傷は傷だから。私にある傷だから。ほっといたら悪さを働く傷です。その悪さをする傷は私の中にあります。だから、私は責任を持ってその傷を治療しなきゃいけない。そう気付かせてくれた本です。

 

おすすめしたい人


  • 毒母に悩まされている人
  • 毒母を許せない人、母が嫌いな人
  • 母親との関係を友達や信頼している人に理解してもらえない人
  • 恋愛が上手くいかない人・良いパートナーに会える気がしないと思っている人
  • 自分のやりたいことではなく、親のやりたいことをやっている気がする人
毒親の棄て方

スーザン・フォワード/羽田詩津子 新潮社 2015年10月30日
売り上げランキング : 10433
by ヨメレバ

著者プロフィール・Dr. Susan Forward

南カリフォルニアを中心に医療関係のコンサルタント、グループセラピスト、インストラクターをつとめながら、テレビやラジオで活躍。ABCトークラジオ局では電話をかけてきたリスナーに応える番組を担当。

著書に『毒になる親 一生苦しむ子供』(講談社+α文庫)、『ブラックメール 他人に心をあやつられない方法』(日本放送出版協会)、『男の嘘』(TBSプリタニカ)など。